日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院

病院公式ブログ

2021.05.21

医療の知恵

「脳動脈瘤」について

脳動脈瘤とは

脳の表面を走る動脈の一部が瘤状に膨らんだものです。30歳以上の成人の3%強に発見されるといわれ、現在喫煙している方、高血圧の方、脳卒中の家族歴がある方は、脳動脈瘤を有することが多いとされています。破裂していない(未破裂)脳動脈瘤の多くは無症状ですが、破裂するとくも膜下出血を発症します。日本のデータでは、脳動脈瘤全体の年間破裂率は0.95%と報告されています。

くも膜下出血とは

脳の表面はくも膜という薄い膜に覆われています。くも膜と脳の表面の間にあるくも膜下腔に生じた出血をくも膜下出血といい、最も多い原因は脳動脈瘤の破裂です。典型的な症状は「これまで経験したことがないような激しい頭痛」ですが、出血が激しい場合には意識障害や呼吸障害を生じます。

脳動脈瘤に対する治療方針

未破裂脳動脈瘤が発見された場合、数か月~1年おきに頭部MRI検査などを行い、経過をみていくことが多いです。場所・大きさ・形状によっては破裂する危険性が高いものもあり、そのまま経過をみてよいのか、もしくは破裂を予防するために手術を行った方がよいのか、専門的な判断が必要となります。一方、くも膜下出血を発症した場合には、脳動脈瘤の再破裂を予防するために手術を行う必要があります。

手術の方法には、開頭し脳動脈瘤の根本をクリップで挟む方法(開頭クリッピング術)と、足(もしくは手)の血管から脳動脈瘤の内部にカテーテルを誘導し、コイルで内部を詰める方法(血管内治療)があります。

 

当院では、人間ドックのオプションで頭部MRIを中心とした脳ドックを受けることができます。脳動脈瘤が発見された場合でも、専門的知識を有する脳神経外科医が説明しますので、遠慮なくご相談ください。

脳神経外科 副部長 大下 純平

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