〜医療の知恵〜「痛みについて」

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体の異変を知らせるサインの一つに“痛み”があります。病院受診のきっかけとなる最も大きい現象とも言えるでしょう。
今回は、この“痛み”にも種類があることをお話ししようと思います。

まず一つ目は、皮膚や筋肉、内臓といった組織に何らかの障害が加わり、そこに分布した神経から脊髄経由で脳に信号が到達し“痛み”を認識する“侵害受容性疼痛”です。具体的には、切り傷を負った際の痛み、虫垂炎が原因の下腹部痛などいわゆる急性の痛みが該当します。“生体の警告としての痛み”とも言えます。

そしてもう一つは、神経そのものに障害や病変が生じた場合に生じる痛みで、“神経障害性疼痛”と言います。これには、帯状疱疹後神経痛、脊柱管狭窄症による痛み、糖尿病性末梢神経痛、複合性局所疼痛症候群などがあり、“病的な痛み”と考えられています。この痛みは長期にわたって持続し、難治性疼痛となって、その後の仕事や生活に多大な影響を及ぼす可能性があり、大きな問題となっています。

痛みに対する治療方針は、このどちらの痛みかによって異なります。
まず“侵害受容性疼痛”に関しては、傷が治ったり、虫垂炎の手術をすることで、痛みもなくなりますので、まず原因を取り除くことを目標とします。痛み治療は、症状に対する処置、“対症療法”という位置付けです。
これに対して難治性の“神経障害性疼痛”については、基本的には直接痛みを軽減する治療が主体となります。つまり鎮痛そのものが“原因療法”として治療の目標となります。痛みを我慢することは、逆に治癒を遅らせることになるので、薬物療法、神経ブロックなどの方法を用いて、できるだけ痛みを感じない時間を作ることを心がけます。

 ペインクリニック外来では、このような難治性疼痛の患者様の苦痛の軽減を目指しております。

副院長(麻酔科) 前川隆英