~医療の知恵~「慢性の便秘症」

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古くから我が国では、ヒトが 健康で快適な日々を送れる基本条件として、「快食」・「快眠」・「快便」の三大原則が必須といわれています。よく食べ、よく寝て、気持ちよく便が出ることは、健康でいるためには欠かせない要件です。

しかし、近年のストレス社会、運動量の減少、超高齢社会の到来などにより、便通異常を訴えるヒトの増加が指摘されています。

これまで我が国では、便秘はそれほど日常生活に影響するほどの病気とは考えられていませんでした。そのような社会的背景もあって、平成25年の調査で我が国でも便秘症状を自覚しているヒトが、男性で1000人あたり30人弱、女性では50人程度おられるにもかかわらず、便秘の症状のみで医療機関を受診するヒトは少ないのが現状です。

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慢性便秘症患者さんのQOLを評価した海外のデータでは、便秘症は患者さんの生活の質を身体的にも精神的にも著しく損なう疾患であり、適切に治療されるべき疾患であることが明らかになっています。

慢性便秘症は 機能性、器質性、症候性、薬剤性、過敏性症候群の便秘型に分類されます。まず原因となる大腸や直腸の腫瘍やクローン病などの炎症性腸疾患、大腸や直腸を外から圧迫する子宮や卵巣の大きな腫瘍などが無いことを確認することが必須です。内分泌疾患、代謝性疾患、神経疾患、精神疾患、循環器疾患など便秘の原因となる病気があればまずその病気の治療が、便秘を引き起こす薬剤を内服されている場合には、その薬の減量や中止が可能かどうかを検討してみることも必要です。

慢性の便秘症は、適切な治療が必要な病気であり、最近新しい治療薬も発売されていますので、是非お近くのかかりつけの医師に相談され、原因をきちんと検査された上で専門的な治療を受けられることをおすすめします。

 

総合内科部長 田利 晶