~医療の知恵~「乳房再建」

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乳腺外科を担当している第二外科部長の筒井信一です。

癌の手術で一番大切なことは、癌細胞を取り残すことなく切除することです。しかし、大きく切除すればよいというわけではなく、必要最小限かつ十分な切除が必要とされます。乳癌に対して行われる乳房切除の範囲として、乳房を全部取る乳房全摘と乳房の一部を切除する乳房温存術があります。どちらの術式を選択するかは、主に乳癌の大きさで決まります。

日本では、以前はすべて乳房全摘術でしたが、1990年代に乳房温存術が行われるようになり、現在は約70%の症例で乳房温存術が行われています。乳房全摘は、乳房温存術に比べ、患者さんの乳房の喪失感が大きいのですが、現在でも、30%の症例は、広範囲に広がり、乳房全摘が必要な乳癌です。この喪失感をなくすため、乳房全摘後に乳房再建が行われてきましたが、費用の面で乳房再建を躊躇される患者さんが多くいらっしゃいました。しかし、2013年から、ティッシュ・エキスパンダー(組織拡張器)とブレスト・インプラントが、乳癌で乳房全摘術を行った患者さんに対する乳房再建に限り、健康保険の適用下で使用できることになりました。以前は、インプラントによる乳房再建の費用は片側100万円程度といわれてきましたが、健康保険の適用により、インプラントによる再建の費用のハードルが下がったことは、患者さんにとって朗報といえるでしょう。

もっとも、乳癌は早期に見つければ、大きく切除する必要はありません。このためにも、40歳を過ぎたら、検診を受けることが大切です。

 

第二外科部長 筒井 信一