~医療の知恵~「胎児行動学」

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超音波検査が産科臨床で行われるようになり、早40年になります。

当初は2次元の静止画のみでしたが、今では3次元/4次元といった立体表示が出現し、お腹の中での胎児の動きを見ることができるようになりました。
3次元画像は長さと幅と奥行きを表現でき、4次元画像では3次元画像に時間軸が加わることで、胎児の行動を動画で評価することが可能になりました。
特に4次元画像の優れた超音波機器の登場で、胎児研究は飛躍的に進歩し、胎児行動学の夜明けがきたとも言われています。

2次元画像では、胎児の口の開閉が「あくび」なのか「笑い」なのか、表情としてとらえることが困難でしたが、3次元/4次元画像による立体表示ができるようになってから客観的に評価できるようになりました。
胎児の表情は無意識に生じていると考えられますが、胎内での表情はまさにヒトの「表情の起源」でもあります。
胎児を観察していると、いくつかの特徴的な表情が存在します。
それは、「笑い顔」や「しかめっ面」、「泣き顔」などです。
胎児は胎内であくびをしたり、指しゃぶりをしたりと、様々な表情を見せてくれます。写真加工用また、胎児がストレスを感じると、腕を跳ね上げるようなぎこちない運動がみられるとの報告があったり、双子の場合は胎内でお互いの存在を感じ、触れ合っているということがわかってきたり、胎内という暗室での胎児行動が徐々に明らかになっています。

将来的には、胎児に感情があることが発見されるかもしれません。

妊婦さんが音楽を聴いて心地よいと感じているときに、胎児はどのような反応を示しているかなど、まだまだ研究段階です。
妊婦さんが心地よい環境であるか、ストレスがある環境であるかによって、胎児が笑顔を見せてくれたり、拒否反応を示したりするなど、胎児の「心」の存在が分かれば、妊婦さんは今まで以上に胎児に愛情がわき、母性を芽生えさせ育むことに繋がる可能性もあります。
そのことが虐待や育児放棄などを減らす抑止力になるかもしれません。

まだまだ分からないことが多いですが、ワクワクする領域でもあります。

産婦人科部長 伊達 健二郎