~医療の知恵~「精巣について」

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精巣は男性にしかない臓器で、女性の卵巣にあたります。
以前は睾丸といわれていましたが、最近は精巣とよばれます。俗には「金玉」や「たまたま」と呼ばれます。
精巣は陰嚢内に2つあります。主な機能(はたらき)は①男性ホルモンを作ること、②精子を作ることです。
①は医学専門用語で性腺機能といいます。②は造精機能といいます。

今回は、精巣の疾患のなかで、みなさんに特に知っていただきたいと思う二つの疾患をとりあげます。

精巣捻転
ひとつは精巣捻転症(精索捻転症)です。これは、精巣につながる索状の組織(精索)に血管や精菅があるのですが、それが捻転して、血行障害をおこすものです。
好発年齢は10歳から20歳くらいで、急に精巣が痛くなります。痛さは激烈なこともありますが、我慢ができる程度のこともあります。精巣は腫れることもありますが初期は腫れてもわずかです。治療は緊急手術です。麻酔をして陰嚢を切開し、捻転を戻して精巣を固定します。この手術が遅れると精巣が壊死してしまって、もとに戻しても血流が改善せず、精巣摘出が必要になります。精巣を温存するには発症から手術まで6時間程度が限度とされています。急に痛くなったら夜間でも休日でもすぐに医療機関(泌尿器科医院や泌尿器科のある病院が望ましい)に行ってください。緊急手術が必要ですが、早く手術すれば後遺症なく、治ります。診断は問診や診察で可能なことも多いですが、超音波検査が有用です。
この疾患は、 一般にあまり知られていないこともあり、また、患者さんの年齢から恥ずかしがって病院に行かないこともあり、手遅れになって精巣摘除にいたることも多いので、ぜひ、こういう疾患があることも子どもさんにお伝えください。

泌尿器別添3

精巣がん
精巣にも癌(がん)ができます。精巣が痛くないのに固く大きくなってきます。好発年齢は乳幼児と15歳から40歳です。若い方に多く、また、痛くないので、医療機関への受診が遅れることが多く、初診時すでに進行して転移を来していることも、まれではありません。
治療は精巣を摘出する手術を行います。その後、転移があれば転移に対する化学療法(抗がん剤による治療)を行います。幸い、精巣がんは抗がん剤が効きやすいがんなので、転移があっても完全に治癒することもまれではありません。ただ、早期に見つかると治癒率も高く、化学療法をしなくてすむことが多いので、早期発見は重要です。
精巣の腫瘍はまれな疾患で10万人に1-2人程度なのですが、他のがんに比べポピュラーな疾患ではないため、精巣にがんができることを知らない方も多いと思います。精巣が大きくなったら恥ずかしがらずに医療機関を受診するようにしてください。特に若い方は要注意です。

精巣摘除術後の後遺症
精巣は二つあるので片方を摘出しても男性ホルモンをつくる働きや、精子をつくる働きは残った片方が補います。お笑いタレントの爆笑問題の田中裕二さんは精巣摘出術をうけています。また、おなじくお笑いタレントのネプチューンの堀内健さん(ホリケン)も精巣摘出術をうけていますが、ともに結婚されお子さんをもうけています。精巣捻転や精巣がんで、不運にも片方の精巣を取ることになっても、美容上のこと以外は特に大きな問題はありません。もちろん体の左右のバランスが崩れることもありません。

泌尿器科部長 作間 俊治