~医療の知恵~『転移性脊髄圧迫』

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転移性脊髄圧迫はMetastatic Spinal Cord Compression(MSCC)ともいわれ、がん救急の一つに分類されます。MSCCは脊椎/脊髄腫瘍が脊髄を圧迫し、痛みや脊髄の神経障害を引き起こし、著しくQuality Of Life(QOL:生活の質)を低下させます。
原因として、ほとんどが脊椎への転移性骨腫瘍(骨転移)となります。

MSCCの初期は首や背中の痛みなどの、障害されている椎体の位置の刺激痛を認めます。時間経過とともに運動/感覚麻痺や排尿/排便などに支障がでる、膀胱直腸障害などの神経症状が出現し、増悪していきます。

診断にはCTやMRIで腫瘍の脊柱管内進展や脊髄の圧迫・変形を確認します。

治療として、まずはステロイド投与を行い、疼痛改善と神経機能改善を図ります。
その後、圧迫部位に対して放射線治療単独もしくは手術と術後の放射線治療での加療を行っていきます。
しかし、手術適応となるMSCC症例は限られるため、実際の臨床現場では放射線治療単独での加療が選択されることが多いのが現状です。

MSCCの患者さんが治療後に歩行可能である割合は、治療開始前に歩行可能であった場合は約90%、治療前に歩行不能であった場合は約30%とされており、症状の出現に気付いた時点、もしくは症状出現前の段階で早急な治療介入が必要です。

MSCCは、患者さんのQOLに関わる病態であるため、首や背中の強い痛みや足の脱力等の症状を感じた時は遠慮なく主治医の先生に相談していただければと思います。

放射線治療科部長 柏戸 宏造
医師 勝田 剛