~医療の知恵~「鉄欠乏性貧血」について

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貧血とは、赤血球に含まれるヘモグロビン(Hb)濃度が基準の値を下回った状態をいいます。ヘモグロビンはヘムとグロビンから構成され、体全体に酸素を供給するのに必要な蛋白です。
WHOの基準からすると、Hbの基準値は成人男性で13.0g/dL,、成人女性で12.0g/dLとされていますが、基準値は年齢や性別、妊娠の有無によっても異なります。80歳以上であれば、11.0g/dLが基準値となっています。

貧血の症状としては、易疲労感、全身倦怠感、頭痛やめまいといった全身への酸素の供給が不足する事によって起こる症状と、それを代償しようとして生体が反応する脈拍や呼吸数の増加に伴う動機や息切れといった症状があります。

hinketsu鉄欠乏性貧血のわが国における頻度は、女性の罹患率が10%程度、20~50歳未満の女性に限れば20%程度もいると推測されています。その一方で、成人男性の罹患率は2%以下と少ないです。
わが国の女性の潜在的な鉄欠乏状態(貧血の基準は満たさないが、鉄欠乏状態にあること)については、女性の約半数に上るとされています。これは、先進国の中でも非常に高い数値であり、わが国でも鉄の摂取不足を補うための施策を積極的に展開する必要があると考えられます。わが国の現状では、女性はちょっとした食生活の変化やダイエットにより鉄欠乏性貧血になってしまいます。

成人の体内には3~4gの鉄が存在しています。ヒトが、1日の食事で摂取する鉄量は10~15mgですが、実際に吸収されるのはそのうちわずか10~15%程度しかありません。一方、鉄は、腸粘膜や皮膚の脱落、あるいは便、尿、汗などとともに1日あたり1mg程度が排泄されています。そのため、ヒトの体内ではわずかな出入りがあるのみで、生理的な状況ではほぼ同量を維持しているということになります。成人女性の場合は、月経による出血によって1日平均2mgの鉄が失われてしまうので、意識して鉄分を摂取しない限り、慢性的な鉄欠乏状態になってしまいます。

鉄が不足しているといわれ、鉄を摂取してもなかなか回復しない時には、消化管出血やヘリコバクターピロリなどによる慢性胃炎、婦人科疾患による出血などの可能性があります。こころあたりがあるようなら、消化器内科や産婦人科への受診が必要となります。また他にも、慢性疾患に伴う貧血であったり、骨髄異形成症候群といった血液疾患であったりする場合もありますので、血液内科への受診も必要となってきます。

無菌治療室長 片山雄太