~医療の知恵~肝線維化の非侵襲的測定法「あなたの肝臓の硬さは?」

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慢性肝炎が持続すると,肝細胞が壊れた跡に線維が沈着し、肝臓が硬くなります。これを「肝線維化」と呼び、これが進むと「肝硬変」になります。慢性肝疾患において、肝線維化の進展度を把握することは病態把握のために重要です。肝線維化が進むほど、発癌、胃食道静脈瘤などの門脈圧亢進症状、肝不全のリスクが高まることが知られており、予後や治療方針決定のために正確な評価が必要だからです。

肝臓

これまでの肝線維化の判定のゴールドスタンダード(標準基準)は「肝生検」といって体外から超音波検査機器(エコー)で肝臓の位置を把握しながら(超音波ガイド下肝生検)、あるいは腹腔鏡を用いて生検針という針を肝臓に刺し、肝臓の細胞の一部(検体)を取りだす検査でした。これらには疼痛や出血のリスク、同一肝であっても線維化は不均一になること、評価のバラツキならびに定期的に繰り返して行うことが難しいなどの課題がありました。

この度、当院が購入したハイグレードスペックの超音波検査機器Aplio i800は画像がより鮮明になっただけでなく、肝臓の線維化の程度を非侵襲的(生体を傷つけず)に測定する薬機法の認証を取得して(保険適応となって)おり、通常の腹部エコー検査の一環として肝線維化の評価が可能です。測定の原理は肝臓の中を剪断波(shear wave)が伝播する速度を見るもの(例:プリンを指でつついて別の点で振動を観測すること)で、硬い場合は波が速く伝わり、軟らかい場合は遅くなることを利用したものです。

ハーボニーWEB 2018

肝生検に代わる肝病態診断法の確立が望まれていましたが、このように超音波検査機器の進歩により肝臓が硬くなってきているのか、逆に抗ウイルス療法などの治療により柔らかくなっているのかを体に負担なく測定し、繰り返し評価が可能となりました。慢性肝疾患があり肝硬変が心配な患者さんは一度、受診いただき、腹部エコー検査を受けていただければと思います。

第二消化器内科 部長 辻 恵二