~医療の知恵~うんちの色

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今回はあかちゃんの「うんち」の話をします。我々小児科医が、新生児の問診で気にしているポイントをお伝えしましょう。

新生児の排便回数は一日数回から10回ほどが多く、授乳の度にうんちをする子もいます。粘土状や液状のこともあり、下痢かどうか悩ましいです。個人差があり、「いつもと同じ」か否かが判断の基準になります。これらは、一般的な便の状態ですが、我々が一番気にするのは、便の色、特に「灰白色便」です。

一ヶ月健診では「便の色は何色ですか?」とお母さんに尋ねます。「茶色です。」または「少し緑色です。」との返事が多く、「白色です。」と答える人はいません。
気になるお子さんには、「白っぽくないですか?」と具体的に聞きたいのですが、それはいけません。お母さんに「うんちが白い?この先生頭おかしい!」と思われるのが関の山です。

実は、新生児期から乳児期早期にかけての「灰白色便」と「遷延性黄疸」は、「胆道閉鎖症」や「先天性胆道拡張症」などの病気を強く疑う症状です。また、「新生児肝炎」や「アラジール症候群」などといった病気が見つかることもあります。そのため、健診では「灰白色便」に注意します。
しかし、色の表現は奥が深く、同じ色でも、明るさなどが異なれば、環境で見え方が大きく違います。また、思い込みも影響します。医師が着る「白衣」は、よく見ると薄汚れて「灰白衣」になってますが「白色」です。便の色も、白くなっていても「茶色」と表現してしまうことは多々あります。実際、胆道閉鎖症のお母さんに便の色を尋ねると、多くが「茶色」と回答されます。

boshi_kenkou_techou最近では、母子手帳に便色カードを掲載することが義務づけられました。実際の「うんち」を便色見本と比較し、色味が何番に近いかを答える形式になっています。簡便で非常に正確なため、大発明だと思っています。診察でも毎回使用してます。ただ時折、カードなしで「便の色は何番?」と尋ねてしまい、「色が何番?この先生頭おかしい!」と思われるのが悩みです。

小児集中治療室長 羽田 聡