血液内科と貧血について

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血液内科は、白血球や赤血球、血小板といった血液中にある細胞の異常や、凝固線溶(血液の固まりやすさ)の異常によって起こる病気の診断、治療を行う診療科です。具体的な病気には、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、血友病などがあります。聞き慣れない病名が多いですね。しかしながら、骨髄異形成症候群などの患者さんは高齢化に伴い増えてきています。

血液内科を受診するきっかけとなる異常で最も多いのは貧血です。一般的には“貧血”と聞くと、「朝礼など、長時間立っていたら気分が悪くなって倒れた」、「立ち上がったらクラっとする」、などを思い浮かべますが、医学的には、貧血は赤血球成分が不足した状態を指します。赤血球の機能は、肺に取り込まれた酸素を全身へ運搬、供給することですので、貧血は赤血球に含まれるヘモグロビンという酸素結合蛋白を指標に定義されています。つまり、血液検査でヘモグロビンが低いと、医学的に貧血です。ここで大切なのは、貧血には様々な原因があるということです。最も多い原因は、ヘモグロビンをつくる原料となる鉄の不足で、鉄欠乏性貧血と呼びます。鉄欠乏を引き起こす原因には、需要の増大(妊娠時など)、吸収不足(胃などの手術後)、摂取不足(偏食)もありますが、慢性的な出血が最も多く、注意が必要です。鉄欠乏性貧血は鉄剤を内服、あるいは注射することで改善しますが、胃潰瘍、胃癌、大腸癌などの消化管疾患や、子宮筋腫などの婦人科疾患の慢性的な出血を引き起こす病気が隠れている可能性があります。その場合、これらの隠れた病気を治さない限り貧血は良くなりませんし、漫然と鉄剤による治療をしているだけでは隠れた病気が進行してしまうことになります。よって、鉄欠乏性貧血と診断された場合には、鉄剤による治療だけでなく、検便や胃カメラ、大腸カメラ、婦人科検査などが必要です。

貧血の原因が鉄欠乏ではない場合には、上記の白血病、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群などの血液疾患を含めた更なる原因検索が必要となります。

貧血でお困りの場合には血液内科にご相談ください。

 

血液内科副部長 名越久朗