2025.05.19
職員コラム
AMR(薬剤耐性)とは何でしょうか?
皆さんはAMRという言葉を耳にしたことがありますか?
実は、私たちの健康に関わるとても大切な話なのです。
AMRとはAntimicrobial Resistance(薬剤耐性)の略語であり、簡単に言うと抗菌薬の使い過ぎや間違った使い方をすることで、細菌が薬に対して耐性を持ち、効かなくなってしまう状態のことです。
対策がとられないままであれば、2050年に全世界で毎年1000万人以上の人がAMRに関連した原因で亡くなると予測されています。これはがんによる死亡者数を上回ることとなるため、世界的な問題へと発展しています。
私たちの病院でもこの問題に対して積極的に取り組んでいます。
具体的には、「抗菌薬適正使用支援チーム(AST)」という多職種のスタッフが協力して、抗菌薬の適切な使い方をサポートしています。例えば、どの抗菌薬を使うか、どのくらいの期間投与するか、必要な検査は何かなどを提案し、治療の効果を高めながら副作用や耐性菌の出現を防ぐ努力を日々続けています。
そもそも抗菌薬とは細菌と戦うお薬です。「細菌」と「ウイルス」は全く異なるものであり、抗菌薬はウイルスには効きません。そのため、ウイルスによって起こる風邪には、抗菌薬を飲んでも効果は得られません。
そこで、皆さんにお願いしたいことが3つあります。
① 風邪で病院にかかった時など、「抗菌薬をください」と安易に頼まないこと
② 医師から処方された抗菌薬は、指示通り最後まできちんと飲み切ること
③ 基本的な感染対策(手洗い・うがい、必要時にマスクの着用など)を日常的に続ける
ひとりひとりができることから始めて、みんなで健康を守りましょう!
※ポスターのようなわかりやすい情報はAMR臨床リファレンスセンターが作成されています。ぜひ一度ご覧ください。
薬剤部 梶山 真一
