~医療の知恵~「常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)」

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今回は、遺伝性腎疾患のうち最も頻度の高い常染色体優性多発性嚢胞腎(以下ADPKD)を取り上げたいと思います。

 

ADPKDは、両側の腎臓に多数の嚢胞(水の入った小さな袋)ができ、年齢とともに大きくなり数も増えます。やがて40歳頃から腎臓の働きが低下しはじめ、およそ60歳までに約半分の方が人工透析などの腎代替療法が必要となるといわれています。ただし、腎臓の働きが低下する速度は個々で異なります。

 

発生頻度は4,033人に1人で、我が国における推計患者数は31,000人と決して稀な病気ではありません。また、この病気は優性遺伝で、ADPKDの患者さんのお子さんは、2分の1の確率で遺伝します。

 

症状としては、30~40歳代まで無症状で経過することが多いですが、進行するにつれ腹痛、腰背部痛、血尿、腹部膨満感などがみられるようになります。初期は無症状ですので、超音波検査で診断されることも多く、健診や人間ドックは大切です。

 

①.③.

合併症で特に注意しなければならないのは脳動脈瘤であり、約10%の方に合併するといわれています。破裂してくも膜下出血を起こすリスクがあるので、必ず脳の検査を行います。また、高血圧を合併する頻度も高く、腎臓に良くない影響を与えるので血圧の管理も重要です。

②.

 

現在、ADPKDの治療において、根治を目指した治療はありません。しかし、近年では進行を遅らせる新しい治療薬(トルバプタン)も開発され、当科でも積極的に治療を行っています。

是非、お気軽にご相談ください。

 

                                           腎臓内科部長 横山 敬生