日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院

病院公式ブログ

2025.06.30

医療の知恵

最近、よく眠れてますか?

睡眠時無呼吸症候群とは、大きないびきとともに、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。医学的な定義では、10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」や、呼吸が弱くなる「低呼吸」が、1時間あたり5回以上繰り返される状態をいいます。

睡眠中に無呼吸がおきると、体が低酸素状態となります。このような無呼吸に伴う低酸素状態が毎晩、しかも年単位で起きれば、心臓・血管系の病気や多くの生活習慣病と関連してきます。高血圧症との関連が古くからよく言われていますが、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患や脳卒中の発症にも関係します。一方、低酸素状態になると、脳が防衛的に目覚めて、呼吸が再開します。この状態が繰り返し続くと熟睡できず、睡眠不足の状態になります。
そのため、「日中の強い眠気」や「倦怠感」「起床時の頭重感」「気分の落ち込み」などがあらわれ、仕事や勉強がはかどらないなど、作業能率の低下や、性格上の変化をきたすこともあります。運転による交通事故を調査すると、その事故率は約2.6倍以上にも上昇するといわれます。

このように、睡眠時無呼吸症候群は、日常生活に支障をきたし、個々の健康障害のみにとどまらず、公共の安全性にも影響を与える病気です。
睡眠中のいびきや無呼吸、日中の強い眠気などあれば、一度、検査を受けてみてはいかがでしょうか。

                                        循環器内科 部長 岡田 武規

このページのトップへ