日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院

病院公式ブログ

2025.11.11

医療の知恵

におい、感じてますか?

みなさん、嗅覚についてどのくらい意識した生活をしていますか?
人の五感のうち、視覚や味覚などの毎日意識をせざるを得ないものに比べて、嗅覚はなんとなく存在感の薄い印象があるかもしれません。しかし、嗅覚は実際の生活において重要な役割を果たしています。

飲食物やリラクゼーションに使われる香料などは人を幸せにする香りです。そのほかに腐っているものを判断したり、排せつ物の存在やガス漏れに気付くといった危険回避の役割も果たしています。実際に嗅覚障害の患者さんは、「鼻詰まりもしんどいけど、何とかにおいをもう一度感じられたら」と訴えることがよくあります。

コロナ感染による嗅覚・味覚障害が一時期話題になりましたが、最近多い原因として好酸球性副鼻腔炎という病気が挙げられます。これは、好酸球というアレルギーに関与する白血球の一種が暴走するために、鼻茸という病的粘膜の成れの果てのような塊を作ってしまい、嗅覚の神経まで至る通気をブロックすることによるものです。手術によって改善するケースや、手術で十分に改善しなくても生物学的製剤の注射により嗅覚が改善するケースもあります。

嗅覚障害は放置すればするだけ治療が困難になります。存在感の薄く放置されることもしばしばある嗅覚ですが、「そういえば嗅覚がないな」と感じる場合はお早目の耳鼻科受診をお勧めします。

                                      耳鼻咽喉科・頭頸部外科 園山 徹

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