医療の知恵～病気の兆候を見逃さないために

先日、11月29日（土）にマツダスタジアムで「カープレジェンドゲーム」が行われました。往年の名選手たちが集まり、楽しそうにプレーする姿に、懐かしさを覚えた方も多かったのではないでしょうか。初回には“ミスター赤ヘル”山本浩二さんも登場し、現役時代を思わせる打撃フォームで元気なお姿を見せてくださいました。

山本浩二さんは、2020年に膀胱がんと肺がんを患っていたことを公表されています。以前からヘビースモーカーだったようで、肺がんが喫煙と深く関係することはよく知られていますが、膀胱がんも喫煙との関連が強く、発症率が約4倍に上昇すると報告されています。

膀胱がんは、初期には無症候性血尿で見つかることが多い病気です。痛みがないため、「血尿が出たがすぐに治まったので放置してしまった」というケースは珍しくなく、その結果、進行してから受診される方も少なくありません。診断には膀胱鏡検査が必要ですが、以前は“痛い検査”の代表のように言われ、受診をためらう方もいらっしゃいました。現在は柔らかい軟性膀胱鏡が主流となり、痛みは以前より大幅に軽減されています。

がんは何より早期発見が重要です。もし血尿が見られた場合は、忙しい毎日の中でも早めに泌尿器科を受診していただくことを強くお勧めします。日頃から健康に気を配り、今回久しぶりに「カープレジェンドゲーム」のため来広されたホプキンスさんのように、80歳を超えても元気に過ごしたいものですね。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　泌尿器科　部長　平田晃