日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院

災害救護活動

診療科・部門について

災害救護活動

災害医療への取り組み

災害救護活動には次のようなものがあります。

  1. 医療救護
  2. 救援物資の備蓄と配分
  3. 血液製剤の供給
  4. 義援金の受付と配分
  5. その他災害救護に必要な業務
    • 赤十字ボランティアによる災害時の情報収集、応急手当、炊き出し、安否調査、救援物資の輸送・ 配分、避難所での世話などの活動
    • 被災者等への心的支援としての『こころのケア』活動

2016年熊本地震の救護活動 

 当院は、地域災害拠点病院であり、災害に備え日本赤十字社法に基づき医師・看護師・薬剤師・主事などのメンバーで構成される救護班を6班編成しています。2016年4月14日と16日に熊本地方において震度7を記録する地震が発生し、熊本県を中心に甚大な被害をもたらしました。当院から第1班が4月16日~18日に出動しました。私は、第2班とした4月18日~21日に出勤しました。

 益城町総合体育館横に設置されたdERU(domestic Emergency Response Unit:国内型緊急対応ユニット)の救護所での診療と、避難所を運営されている方と環境調整の検討を行いました。dERUは、大規模災害発生後、いち早く被災地における診療を行うことを目的に日本赤十字社が独自に考案したシステムで、仮設診療所設備とそれを運ぶトラック・自動昇降式コンテナで構成されています。麻酔や抗生物質などの医薬品、外科用具など医療資機材のほか、診察台、簡易ベッド、担架、簡易トイレ、貯水タンクなどが積載されています。標準医療セット及び医薬品で中等症程度の患者150人を3日間診療可能で、小外科手術にも対応できます。その後は、被災状況により、医療資機材を補給することにより被災者に対する治療を継続することができます。

 救護所は、24時間対応しており、受診者に対して応急処置や救護所でできる処置・治療・薬剤投与を行いました。肺梗塞疑いなど重症な方は、病院への救急搬送を依頼しました。 避難所生活や車中泊の方は、エコノミー症候群を起こすリスクが高く、災対本部から支給されたストッキングを配る対象者を決定し、下肢のむくみ、疼痛がある方、リスクのある方は、救護所に受診してもらうよう受診券を作成しました。早くから薬剤師と高校生ボランティアの方が巡回してリスクのある方を抽出されており、巡回時に受診券を渡してもらい受診を勧めてもらうようにしました。避難所を巡回し、避難所の環境で整備が必要な事について避難所運営をされている方と相談し、改善できるよう検討しました。検討した事は、次の救護班に申し送りを行いました。

 私達の活動が十分であったとは言えませんが、得られた多くの情報を次の救護班と他職種に提供し、被災者の方の求める支援につながるようにと思いを託しました。

こころのケア活動 

突然起こってくる災害はまさに恐怖で、予期できないことが多く、被災した方々は 家や財産そして家族等のかけがえのないものを失い、心が大きく傷つきます。そして不自由な避難生活が続くことで、より一層ストレスに満ちた生活が続きます。赤十字では、国内で災害が起きたとき、いち早く現地に向かい医療救護活動を行いながら、こうした方々の『こころのケア』も行っています。被災者のそばに寄り添い話を聞いて、不安な気持ちを軽減したり、ストレスを緩和したりします。

平成30年7月8日に西日本地方を襲った豪雨災害。当院も広島県呉市に「こころのケア」第一斑として看護師・主事を派遣し、まちづくりセンターや小学校等の避難所を巡回しました。周りの環境やライフライン・避難所暮らしで困難に感じることがあるか、心身ともにどのような状況か等、情報収集しました。次の班や今後の「こころのケア」活動につながることを意識し、活動を行いました。こころのケア活動では、まず血圧を測ったりしながら信頼感を持ってもらえるよう自然な交流を図れるように心がけました。何度か訪問するうちに、自然とお話をさせて頂けるようになりました。地元広島ということもあり、カープの話で盛り上がったりということもありました。被災者だけではなくその地区で働く支援者の方々にもお話を伺いました。自らも被災しながら支援にあたっておられてストレスフルな状況であることがわかり、支援者支援の重症性を改めて認識しました。 

活動に当たり心に残ったのは、多くの被災者の方々が「ご苦労様」「暑い中ありがとう」など行く先々で声をかけてくださったことです。私自身も被災者の方々から思いやりの気持ちの大切さを学びました。

このページのトップへ