日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院

病院公式ブログ

2023.12.01

医療の知恵

AI技術を用いた胸部単純X線画像の読影補助

近年AI技術の発達や活用が著しく、医療現場においても例外ではありません。2023年より当院では胸部単純X線画像の読影にあたりAI技術を活用した診療支援システムを用いることとなりました。
胸部単純X線検査は日常診療や健康診断など様々な場面でしばしば行われる検査ですが、胸部単純X線画像は肺、血管や横隔膜などの正常構造すべてが重なって写るため、時に異常所見がわかりづらい場合があります。膨大な数の画像を医師が読影する中でこのような難しい場合も含め見落としなく検出するには高い集中力が求められます。今回導入されたAI技術を用いることで、撮影された胸部単純X線画像をコンピューターが自動解析し、結節・腫瘤影といった異常が疑われる領域を検出しマーキングします。その領域を医師が再確認し真に異常所見かを判断することで、見落とし防止を支援します。

放射線診断科 赤木元紀

図 左はコンピューターが自動解析する前の胸部単純X線画像、中央はコンピューターが自動解析し、異常が疑われる部位をマーキングしたもの。右はその後撮影された胸部CT画像で、マーキング部位に一致するように肺に約2cmの異常陰影を認めた。手術の結果、肺がんであった。単純X線画像では白い異常陰影が、これまた横隔膜という白く写る正常構造と重なって見えており、わかりづらい異常所見ともいえるが、自動解析により拾い上げられている。

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