日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院

病院公式ブログ

2019.06.26

医療の知恵

肝硬変について

肝臓は、沈黙の臓器と言われています。肝臓を患うと知らない間に進行して気がつくと肝臓がんができていたり、目が黄色くなってきたり(黄疸)、お腹がふくれてきたり(腹水)、突然、血を吐いたり(食道静脈瘤)、訳の分からない行動をとる(肝性脳症)ことになります。この症状は、肝臓が肝硬変になって、さらにもっと進行した状態でないと診られません(非代償性肝硬変)。こうなると肝臓はもう自力では治ることはまずありません。肝臓を取り替える肝移植が唯一の治療ですが、簡単には受けられません。そうなる前に気づいて治療することが大事です。

肝硬変になる元は慢性肝炎です。その原因は、ウイルスによる肝炎(B型肝炎、C型肝炎)、自己免疫による肝炎、アルコールや肥満による脂肪肝です。これらの慢性肝炎は10年から30年かけて進行します。それぞれ治療法がありますが、特にC型慢性肝炎は今や完全に治ります。昔のインターフェロン療法のようにつらい副作用はありません。2~3ヶ月の飲み薬で簡単に治ります。また、今年3月から新薬(エプクルーザ)が登場し、進行した非代償性肝硬変も治療ができるようになりました。肝硬変になっていても遅くはありません。

健康診断を受けて肝機能に異常があれば、また、C型肝炎があれば、治療が必要な状態かどうかよく調べましょう。(B型肝炎もです)何かしら異常があれば、私たちにご相談ください。まずは皆さん、血液検査を受けましょう。

第二消化器内科 髙木 慎太郎

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