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病院公式ブログ

2022.05.18

医療の知恵

食物アレルギーについて ~食物経口負荷試験~

近年、食物アレルギーは社会生活での食物制限やアナフィラキシーの症状の懸念から問題視されています。その割合は乳幼児期では5~10%で、学童期では1.5~4.5%、成人では2~3%と乳幼児期に多いです。ただし、この割合もその診断方法がちがうと異なることがあり、自己申告のアンケートではもっと高い割合になることがあります。

食物アレルギーの確定診断を行うには、検査所見のみでの判断ではなく、実際に抗原食物を摂取して症状が出るかどうかをみる「食物経口負荷試験」が必要になります。つまり、血液検査で卵白や牛乳などに対する抗体(特異的IgE)値が出ていても、実際食べて症状が出なければ食物アレルギーはないということになります。

「食物経口負荷試験」とは、抗原食品を単回または複数回に分けて、30~60分おきに摂取して、症状が出現するかどうかをみる検査です。この検査は、食物アレルギーの診断のみならず、その後の改善(食べられる)を確認する上でも重要です。クリニックや病院でおこなうことができる検査ですが、時にアナフィラキシーを誘発する可能性もあり、その対応ができる施設でおこないます。特に少量摂取でアナフィラキシー症状の既往のある児などは入院で検査することが薦められます。入院でおこなうことができる施設は、厚生労働省と日本アレルギー学会が作ったWebサイト「アレルギーポータル」で確認できます。当院の小児科では、2022年1月からこの検査をおこなっています。

小児科副部長 村上洋子

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