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2022.09.02

医療の知恵

医療の知恵~不眠症について

夜眠れなくて昼に寝てしまう。夜中に何度も目が覚める。寝た気がしない。そんな悩みを抱えている人は少なくありません。実際に眠れなくて日頃の生活に障害がでる場合には、不眠症という診断のもと治療が必要になります。では、不眠症の治療とはどのようなことをしているのでしょうか。

多くの方が思いつくのはお薬の治療でしょう。しかし睡眠薬は種類や使い方次第でやめられなくなる場合もあります。薬がよく効くと頼ってしまいがちです。特に20年以上前からある睡眠薬は不安をやわらげる作用もあるので、服用をやめると不安が出てやめにくいという難点もあります。

ここ数年で睡眠のリズムを調節する新しい薬が開発されました。わたしたちにはもともと朝起きて一定の時間がたつと眠くなるという体内リズムがあります。新しい薬の仕組みを簡単にいうと、そのリズムを調節するホルモン(オレキシンやメラトニン)の作用を強めたり弱めたりすることで睡眠のリズムをとりもどすというものです。これだと依存は生じにくいと考えられており、使用されることが増えています。

お薬を使うだけではなく、自分の行動で生活リズムを改善することも重要です。適度な運動や、毎朝一定の時間に起きること、きちんと食事をすること、夜は光の刺激を目にいれないことなどいくつかのポイントがあります。くわしくは厚生労働省のホームページ「健康づくりのための睡眠指針2014」を参考にしてください。

                                            精神科部長 小早川誠

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